「植草甚一スクラップ・ブック」を見てきました → ○

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 芦花公園駅から徒歩5分の世田谷文学館で本日(2015/04/25)から開催の企画展「植草甚一スクラップ・ブック」を見てきました。

 直筆の原稿や日記、コラージュ、本当に様々なコレクションに圧倒されます。本当にタイトル通りのスクラップブック。特にそれ自体が作品になっているノート類には凄みを感じました。

 書簡や年賀状など個人的なものほど興味深いのですが、圧巻はダンボールなどに描かれた1日のスケジュール表でした。単純なTo doリストではなく、今でいうインフォグラフィックス的な工夫がされていて、造形的にも美しく、見ていて飽きることがありません。

 植草氏はサブカルなどという言葉がなかったころから、自分自身の感性によって好きなものを嗅覚によって収集し、紹介していくことを続けています。膨大なコレクターであったことは間違いないのでしょうが、本人はコレクションと呼ばれることには否定的であったようです。

 ただ今日の展示物を見て、あらゆることを記録してアーカイブしておくことはとても大切だと間違いなく感じました。多くの方が同様のことを主張されていますが、当人が関心がなくても後世の人にとっては貴重な記録になり得るのです。

 植草甚一ファンではない方にもおすすめです。

 

世田谷文学館Webサイト

http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

 

『駅をデザインする』/赤瀬達三(著)

 

駅をデザインする (ちくま新書)

駅をデザインする (ちくま新書)

 

 丸ノ内線は赤い丸、銀座線はオレンジ色の丸でシンボライズされ、地下鉄の出口は必ず黄色で示されています。東京で生活されている方にとっては空気のように意識することなどなく、一般常識として刷り込まれていることでしょう。

  著者は営団地下鉄(現在の東京メトロ)の案内サインを設計した「案内サインのシステム化」を専門とするサイン設計の第一人者です。案内表示に求められるものは何か、その背景にあるデザイン思想について、自身の手がけた実例をもとに、交通システムのあるべき姿を論じた書籍です。

 駅そのものの空間設計も興味深いのですが、個人的には情報デザインの分野である「サインシステム」の考え方が大変勉強になりました。中でも営団地下鉄への初期導入の話と、JR新宿駅、JR渋谷駅の問題点が印象に残っています。

 豊富な図面や写真を眺めているだけでも、参考になる点が多々あります。身体座標と体感距離という概念も実体験としてなるほどとわかる気がしました。

 新書というフォーマットで読みやすいのですが、図表と説明が分離している点はやや難があり、また各々のトピックの解説が数ページで終わっており、もう少し掘り下げてじっくり読みたい章もありました。

 情報設計に関わる方には一読をお勧めしたいと思います。

 

新入社員研修向けにUCDの考え方について講演を行いました。

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 2015年4月1日(水) 株式会社イデア・システムズ様本社会議室にて、新入社員研修の一環として、1時間ほどお時間をいただき、User Centered Design(UCD)の考え方について講演を行いました。

 同社は受託システム開発を中心とする東京都内の中堅システム開発会社です。お声掛けをいただき、システムエンジニアを目指す新卒技術職向けのお話をさせていただくことになりました。

 新人向けということで、例として取り上げる題材や説明の粒度、理解のレベル合わせに苦労しましたが、実施後のアンケートでは、少なくともUCDの考え方に興味を持っていただけたようで一安心しました。

  講演やワークショップを行うことで、伝えたいことの整理や概念のまとめに繋がります。今後も積極的にアウトプットの機会を持っていきたいと思います。

 

www.slideshare.net

 

グラフの凡例は重要です。

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 SNSで見かけた人口構造の変化を表したグラフです。内容については言及しませんが、凡例が気になったので記しておきます。

 この凡例では、日本=赤、ドイツ=緑のように、凡例での国名の色をグラフの線の色と一致させることによって、対応付けています。 

 最低限これでもわかるのですが、凡例に同色の線を引いて国名の文字は黒で表現しても構わないと思います。直感的な理解を助けるには、凡例部分にもグラフと同色の「線」を引くことが重要です。

 本体のグラフで用いられている線のミニチュアとして「線」を色付きで凡例に持ってくるほうが、より対応付けがはっきり理解できると考えます。この場合では線分の一端は矢印があったほうがより良いでしょう。

 

音声でも説明があるのは → ○

 

 JR市ヶ谷駅には地下鉄のりかえ専用の出口があります。看板サインによる説明に加えて、「こちらの改札は出口ではござません。のりかえ専用改札です。」ここが地下鉄のりかえ専用の出口であることを音声でスピーカーから流しています。

 この種の看板サインは見ているはずでも内容を読んでいないことが多く、見落としがちですが、音声で補足されていると気づくこともあります。

 ここでは視覚と聴覚に訴える方法ですが、二つ以上の方法を組み合わせて内容を伝えるのは望ましいと考えます。

 

確かに重要なお知らせには違いありませんが → ×

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 最近の銀行のWebサイトは、企業により程度の差はあれ「重要なお知らせ」であふれています。

 もちろん重要なお知らせには違いなく、詐欺やコンピュータウィルスには気をつける必要があります。利用者に被害が及ばぬように注意を喚起することにやぶさかではありませんが、十分広い画面にもかかわらず、Webブラウザのファーストビューにおいて、注意事項のメッセージだけで埋め尽くされるのはどうかと感じてしまいます。ここまで来ると心理的な圧迫感すら感じます。

 想定されていた画面デザインを崩すことになりますし、グローバルメニューなどが相対的に目立たなくなり、Webサイト利用者の利便性を損なうことになりかねません。

Info-D VISION「情報デザインの未来」に参加しました。

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 2015年3月14日(土)多摩美術大学上野毛キャパスで開催された、Info-D VISION「情報デザインの未来」に参加しました。

 デザインに携わり、これからもデザインを行っていくデザイナー自身で、このデザイン行為がどのような知的営みなのかを省察し、未来の「情報デザイン」の姿を描くためにという目的により、日本デザイン学会/情報デザイン研究部会の小川俊二さんの呼びかけで、この会が催されています。

 デザイン教育に関わる教員の皆様をはじめ、企業でデザイナーとして活躍される方々など様々なバックグラウンドを持つ参加者による集まりとなり、数多くの気づきを得る貴重な機会となりました。

 もっとも印象に残ったのは、多摩美術大学須永教授の「じゃない感」という言葉でした。まず仮説としてのスケッチを例えば100枚描いてみて、それを描いた自分と描かれたアウトプットをみて違和感を感じた自分との対話で、「これじゃない」という感覚を持つことが、デザインの知性のあり方、さらにその違和感こそが推進のエンジンであるという主張でした。そのデザインの知は、正解がすでにあり、その目標に対して最短距離を一直線に進むエンジニアリングとは別の存在だという点も興味深く感じました。

 確かにデザイン提案について自らを振り返ってみても、複数案から選定する際に「これじゃない」という感覚は、理由が言語化できなくても明確に持つことができます。このNGを嗅ぎ分ける力は経験で身につけるしかないのかなと思いますが、機会があれば「じゃない感」はいかにして生成されるのか、そのトリガーはどこにあるのかなどについて、議論してみたいと感じた次第です。

 また、デザイナー個人の力だけではなく、集合知としての「じゃない感」を活用していくにはどうすれば良いかなど、興味は尽きないテーマが続きます。今後も注目していきたい情報デザイン研究部会のディスカッションでした。

 

日程:3月14日(土)15:00 ~ 19:00
場所:多摩美上野毛校/第三会議室

内容:
講演/5名、各30分程度
懇親+ディスカッション:1時間程度

スケジュール:
1. 「情報デザインの未来」会の主旨説明など(15分)
小川俊二(カイデザイン)

2. 「デザインの知」(30分)
須永剛司(多摩美術大学東京芸術大学

3 「企業での情報デザイン」(30分)
原敏多(富士フイルム

4. 「情報デザイン考」(30分)
早川誠二(NPO法人人間中心設計推進機構)

5. 「自分の中のデザイン」(30分)
田中泉(カイデザイン)

6. 全体ディスカッション(60分)

 

Info-D VISION 「情報デザインの未来」 | Facebook

言語に頼らない潔さ → ○

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 地方空港に直結したJR駅構内にあるサイン表示です。階段およびエスカレーターの上下両端にこのサインがありました。

 左側の「列車はこちら」は「乗車ホームへ向かう」を具体的には示しており、右側の「飛行機はこちら」は「改札口およびその先にある空港への通路へ向かう」ということを示しています。

 サイン自体では最小限のことしか表現していませんが、必要にして十分であり究極の潔さになっていて、迷う要素がまったくありません。

 日本語を解する人にもそうでない人にも一目瞭然です。複数の言語を並列に並べる方法も当然ありますが、このようなピクトグラムとグラフィックだけで表現する方法も良い方法だと感じました。

エレベーターの階数表示としては → ×

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 改修工事の終わった私鉄の駅構内で、エレベーターの階数表示パネルを見つけました。

 他のサインのデザインとトーン&マナーを合わせていて、その統一感はあるのですが、やはり読みづらいと思います。子どもが「はちじゅうに」と嬉しそうに読んでいたのが皮肉にも印象的でした。

 漢字を使えとは言いませんが、公共交通機関という万人にわかる必要があるサインだけに書体の読みやすさには気を使ってもらいたいと感じました。

 

階数表示の数字だけをぶら下げる → ○

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 比較的新しい商業ビルのエスカレーター付近で見かけた階数表示の方法です。

 ポールなどを立てて、そこに現在位置が何階であるかを表示しているケースは数多く見られますが、このような階数表示だけは珍しいと感じました。

 特に下の階から上に登っていく際には、進行方向を見上げるようになるので、無理なく視線に入りやすいと思います。何より柱やボードが無いので極めてスッキリした印象になります。

 また、余計な貼り紙が物理的にできないので、シンプルさを保つにも適しています。もっと広範囲にこの方式を取り入れていただきたいと感じます。

セミセルフレジ → ○

 

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 スーパーマーケットの支払いで、自分で商品をスキャンして支払いをすることができる「セルフレジ」が増えてきました。

 今日紹介するのは、完全なセルフレジではなく、レジ係の人が購入済み商品のスキャンまで行って、お金を支払うところだけをセルフで行うタイプのレジです。レジの端末は2台に分かれていて、レジ係の人は1台目の端末でスキャンだけを行い、購入商品を別のカゴに入れて、支払いを行う端末へデータを送信します。買い物をした人は、購入商品をカゴのまま受け取り、2台目の端末で支払いを済ませます。総額がタッチパネルのディスプレイに表示されているので、自動販売機のごとくその金額を投入して、お釣りとレシートを受け取ります。

 すべてをセルフレジにしてしまうと、慣れない人がスキャンに手間取り長蛇の列ができる恐れがありますが、この方式だと混んでいても比較的スムーズに流れているようです。

 この方式による効率化がどの程度かなんとも言えませんが、いいとこ取りの折衷案も試してみる可能性はありそうですね。

 

この位置だとトロピカーナが売れてしまう → ×

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 食品スーパーでジュースの特売が行われていました。POP広告の対象は、右端にある「アーモンド効果」という商品です。

 しかし、このPOPの置かれている位置が中央の別のジュースの上なので、おそらく買い物にきてPOPを見た人は最も近い位置にある他社メーカーの「トロピカーナ」のオレンジジュースを買い物かごに入れてしまうでしょう。

 食品スーパーではどちらが売れても良いのでしょうが、販売促進に協力しているメーカーサイドとしては、困った問題かも知れません。販売の現場では諸々大変な事情もありそうですが、販促物は広告の対象の直ぐ近くにはっきりとわかるように設置するのが、基本動作として大切だと感じました。

コールセンターの電話音声ガイダンス分岐が多すぎる → ×

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 効率化を進めているようなある程度の規模を持つ企業の問い合わせ窓口に電話をすると、用件ごとにオペレーターに振り分けるため、「Aという用件は1を押してください。Bという用件は2を押してください。Cという用件は3を押してください。」などのように自動応答によるガイダンスされることがあります。

 分岐が2つぐらいならなんとかなりそうですが、5種類以上になると応答音声を聞いている時間が長くなってしまい、最初の選択肢が何であったかすっかり忘れてしまいます。最終的には、自分の問い合わせたい用件がどこに該当するのか分からず混乱してしまいます。人間の短期記憶には限界があり、それに頼るのはあまり得策とは言えません。

 また音声によるガイダンスは、現在の音声電話というテクノロジーを前提としているので、時間軸通りに順番に聞いていくしか方法がなく、リアルタイムには早送りも巻き戻しもできません。このため冗長に感じてしまうことが多々あります。

 人間の記憶に頼る部分を極力少なくするため、分岐の数を少なくすることが望まれます。

 

サインアウトの位置がわかりにくい → ×

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 ソーシャルネットワークサービス(SNS)のカテゴリに単純に含めて良いのか微妙ですが、比較的好き嫌いが分かれるLinkedInの画面です。
 サインアウトしたい時に、どこをクリックしてよいのかかなり迷ってしまいました。慣れて覚えてしまえば致命的な問題ではなかろうと思いますが、毎日使おうと思うかには、大きな影響を与えていると感じます。
 サインアウトはこのカテゴリにあるメニューとは違う意味合いのアクションなので、設定メニューの形式に無理やり当てはめるのは違和感を感じました。設定のメニュー項目とはデザイン上の区別をしたほうが良いと思います。

順番待ちの番号札の分類が多すぎる → ×

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 最近市役所などの公共施設でも、銀行や携帯電話ショップなどにあるような番号札を発行して、窓口の順番待ちをスムーズに流れるようにしているようです。

 今回の番号札の例では要件別に、100番台の数字によってジャンル分けされていました。要件別に分類することは良いのですが、自分がここを訪れた要件が、どのジャンルに分類されるのか、細かすぎてわかりにくいことがあります。

 2分類で十分で、それ以上だとかえって煩雑に感じてしまうような気がします。