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『駅をデザインする』/赤瀬達三(著)

 

駅をデザインする (ちくま新書)

駅をデザインする (ちくま新書)

 

 丸ノ内線は赤い丸、銀座線はオレンジ色の丸でシンボライズされ、地下鉄の出口は必ず黄色で示されています。東京で生活されている方にとっては空気のように意識することなどなく、一般常識として刷り込まれていることでしょう。

  著者は営団地下鉄(現在の東京メトロ)の案内サインを設計した「案内サインのシステム化」を専門とするサイン設計の第一人者です。案内表示に求められるものは何か、その背景にあるデザイン思想について、自身の手がけた実例をもとに、交通システムのあるべき姿を論じた書籍です。

 駅そのものの空間設計も興味深いのですが、個人的には情報デザインの分野である「サインシステム」の考え方が大変勉強になりました。中でも営団地下鉄への初期導入の話と、JR新宿駅、JR渋谷駅の問題点が印象に残っています。

 豊富な図面や写真を眺めているだけでも、参考になる点が多々あります。身体座標と体感距離という概念も実体験としてなるほどとわかる気がしました。

 新書というフォーマットで読みやすいのですが、図表と説明が分離している点はやや難があり、また各々のトピックの解説が数ページで終わっており、もう少し掘り下げてじっくり読みたい章もありました。

 情報設計に関わる方には一読をお勧めしたいと思います。